理科専科はどう考える?! 〜理科の授業開き〜

授業観

理科専科が考える「授業開き」の重要性

 自分は、学級開きってすごく大事だと思っています。なぜかというと、その1日でぼん先生に対する子どもたちからの印象が決まってしまうからなんです。「この先生のクラスは楽しそう」「たくさん褒めてくれる先生だな」「でも、厳しいところもあるんだな」など、子どもたちは私達の姿をよく見ていて、瞬時に判断します。

 そして、それは授業も同じだと思っています。「理科って楽しそう」「理科って楽しくなさそう」という印象は、4月の1発目の授業で決まります。だから、自分にとって、1発目の理科の授業は、真剣勝負なんです。全員の子に「理科って楽しそう」って思わせたい。そう思って、自分は4月の1発目の授業を戦っています。ということで、今回は、「理科専科は、授業開きで何を考え、何を大切にしているのか?」について紹介します。

理科専科が授業開きで大事にしている2つのこととは?

 自分が、授業開きで大事にしていることは、ズバリ2つです。それは…

  •   理科って楽しそうと思わせること
  •   この学年でつけたい問題解決能力を実感させること

 です。

 4月の1発目の授業で、この2つを達成することができたら、自分の中では完璧だと思っています。では、なぜこの2つなのでしょうか?

理科専科が授業開きで大事にしていること①

「理科って楽しそう」と思わせることについて

 昔、尊敬していた先生から「『分かる授業』と『楽しい授業』のどっちを目指したい?」と尋ねられたことがあります。自分は、「分かる授業」って答えたんですけど、その先生は、「楽しい授業」って答えたんです。それで、「どうしてですか?」って聞いたんです。そしたら、その先生は、「意欲は学力だから」って答えたんです。当時は、イマイチわからなかったんですけど、今は「意欲は学力」って言葉がすごくしっくりきています。

 自分のクラスに、すっごく算数に苦手意識がある子がいるんです。その子は、地頭は良いんですけど、その苦手意識が邪魔をして、授業にあんまり乗り気じゃないんです。ボーっとする回数も多いし。すると、成績も落ちてきて、そしたら「まあ、自分は算数苦手だしな」って言ってたんです。

 その子の様子を見ていて、自分は「意欲が低い→授業に乗り気じゃない→点数が伸びない→意欲が下がる→授業に乗り気じゃない→というスパイラルに、はまっているんだなって感じたんです。

 その一方で、もともと理科の点数が低い子がいたんです。でも、その子は、自分が尊敬している先生の理科の授業を受けて、「理科って楽しい」って感じたらしいんです。そしたら、その子は、授業の発言回数も増え、真剣に実験も取り組むようになって、そしたら先生に褒められる回数も増え、次第に点数も上がったんです。そしたら、その子、クラスで1番理科が得意な子になったらしいんです。

 つまり、その子は、「意欲が高い→授業に積極的になる→褒められたり点数が上がる→意欲が上がる→…」というサイクルに入ったんです。

 この2人の様子を見たり、自分自身も意欲のない子に指導したりしてみて、確かに「意欲は学力だな」って感じたんです。最終ゴールは、「分かる授業」なのかもしれないけど、その土台には「楽しい授業」があるという感じです。言い換えると、自分は、「楽しいから学力がつく」のであって、「学力がつくから楽しい」ではないと考えているということです。

 ただ、ここで勘違いしてほしくないのは、ここでいう「楽しい」とは、知的な楽しさであるということなんです。理科でいうと、「なんでコップの水がなくなるのかな?そうか!水って目には見えないけど蒸発しているからなくなるんだ」とか「どうすれば振り子で1分を測れるのかな?そうか!振り子の長さを25cmにして、60往復させれば良いんだ」などです。理科の面白さとは、問題解決の面白さなんです。「自分が見つけた不思議を自分の力で真実に変える」それこそが理科の面白さなんです。

 だから、1発目の授業では、絶対に問題解決をさせたいと自分は思っています。ただし、残念ながら、1授業で問題把握から考察までいけるようなネタをまだ見つけることはできていません。これは今後の自分の課題です。でも、問題解決の途中であっても、子どもたちは、「理科って楽しいな」って思ってくれます。だから、問題解決をさせればいいと思うんです。

授業開きで大事にしていること②

この学年でつけたい問題解決能力を実感させることについて

 4月の時点は、教師の誘導付きで問題解決をすればいいと思うんです。なぜなら、4月の時点で問題解決をできる子なんて滅多にいないからです。でも、いつまでも教師が誘導して、問題解決をし続けるのは反対です。それでは、本当の理科の楽しさを味わうことはできないと思うからです。

 自分は、今年度持ち上がりの4年生を受け持っていて、1年間育ててきたし、この子たちなら大丈夫だろうと思って、ぶん投げたんです。

 この子たちが見つけた疑問は、「どうして、水たまりができる部分とできない部分があるのかな」です。そして、それに対する予想として「高いところから低いところに水が流れたから」「蒸発したから」「染み込んだから」という3つが出てきたんです。どの子も自分の予想が正しいと思っているので、グループに分かれて自分の予想が正しいのかを調べさせました。自分たちで実験方法を考えて、自分たちで根拠を集めて、友達に説明して… ほんで、子どもたちは、3つともが正解って結論付けたんです。正直時間はめちゃくちゃかかりました。でも、疑問が解決した後、子どもたちは、「先生!もう一回!今度は違う疑問でやりたい」って言ったんです。あの子たちは、それだけ楽しかったんだと思います。でも、それくらい楽しめたのは、あの子たちに問題解決能力があったからなんです。

 学習指導要領では、それぞれの学年でつけたい問題解決能力が明記されています。例えば、3年生では「問いを見出す力」です。これは、3年生でしかやってはいけないということではなく、4年生でも5年生でも6年生でも取り組む物です。しかしながら、3年生では「問いを見出す力」に重点をおいて指導することとなっています。

 そして、どの学年にもつけたい問題解決能力が決まっているのなら、子どもたちに体験をさせたうえで、「これが問いを見出す力だよ。こんな力を君たちはつけていくんだよ」って教えたほうが身につくと思うんです。そして、それはなるべく早いほうが良いと思うので、それなら授業開きのときにすべきだろうと考えています。

まとめ

 読んでいて分かる通り、自分は、子どもが楽しそうに勉強しているのが好きなんです。机でただテストのために勉強するのではなく、自然と楽しく関わりながら豊かに学んでほしいと思っているんです。そのために、必要なことを授業開きで子どもに届く形でやりたいんです。

 今日は、授業観なので、抽象的なことを話しました。でも、具体と抽象を行き来することで、より分かることもあるかと思います。そのため、今後は3,4,5年生の具体的な授業開きの実践も紹介しています。

 ぜひ、「理科専科は、授業開きってどうするの?! 〜3生編〜」「理科専科は、授業開きってどうするの?! 〜4生編〜」「理科専科は、授業開きってどうするの?! 〜5生編〜」「理科専科は、授業開きってどうするの?! 〜6年生編〜」を御覧ください。

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