<3つのセットを使って明かりをつけられるのかな>
豆電球を紹介する
まず初めに、黒板に単元名『明かりをつけよう』を板書した。そして、豆電球をみんなに見せ、『これは何か知ってますか?』と尋ねた。すると、子供たちは「豆電球」と答えた。子供たちは豆電球を知っていたようだ。
しかし、わからない子もいるので、『今は、蛍光灯で明かりをつけているんだけど、昔は電球というもので明かりをつけていたんだよ。それで、これは豆ぐらいに小さい電球だから、豆電球というんだよ』と教えた。じゃあ、『今日は何をするかと言うと…』と話すと、子供達は「明かりをつける」という風に答えた。子供たちは黒板を見て、今日やることを予想したのである。
『そうです。今日はこの豆電球に明かりをつけます。しかし、豆電球だけでは明かりをつけることができません』と教えた。すると、子どもたちからは「あっ!乾電池がいる」と答えた。『そうなんです。乾電池が必要なんです』と言って、乾電池と板書し、乾電池のイラストも描いた。このときに、『ボコンとでている方をプラス極といい、出てない方をマイナス極というよ』と教えた。
そして、乾電池を渡して子供たちに『明かりをつけてごらん』と伝えた。しかしながら、しばらくすると、子供たちは「え、無理じゃない」という声が出てきた。そこで、『そうなんです。豆電球と乾電池だけではつけることはできません。先生でも無理です。じゃあ、何が必要かと言うと・・・」と言って、導線をみんなに見せた。
そして、導線と板書し、導線のイラストを描いた後、『豆電球、乾電池、導線。この3つがあれば、先生は明かりをつけることができます。みんなはできるかな?」と伝えた。子供たちは早くやりたいといった様子だった。そこで、『じゃあ、今日の課題はどうする?』と尋ねると、みんなで相談して、「3つのセットを使って明かりをつけられるのかな」という風に決まった。
明かりをつけてみる
その後、3つの道具を渡したのだが、1分もかからずに子供達は明かりをつけることができた。そして、子供たちは「こんなん、簡単だよ」と言っていた。そこで、『どうやったら明かりがつくのか、絵や言葉で書いてごらん。理科の言葉を使って書けると最高だね』と伝えた。
少し話は脱線するが、今受け持っている子どもたちは、記述が得意ではない。なんとなく分かっているが、記述をさせるとオリジナルの言葉を使うためどうしても減点せざるを得ない状況なのである。そこで、自分は使ってほしい理科の言葉(今回でいえば、豆電球、導線、乾電池のプラス極、乾電池のマイナス極)を板書しておくことと上記のような声掛けを心がけている。おそらく実を結ぶのはずっと後だとは思いますが…
その後、書いたものをみんなで共有した。多くの子は『導線を電池に繋げば良い』と書いており、少し悲しい気持ちだった。本来はどこにつなげるのかということを書いて欲しかったのだが、今回は書けていない子の方が多かったのである。
まあ、そこはしっかり切り替えて、子供たちに、『つなげる場所はどこでもいいの?』と尋ねた。すると、子どもたちは、「いや!プラス極とマイナス極です」と答えた。そのため、じゃあ、どこにつなぐのかをしっかり書かないといけないね。次回はそれができると良いね』と伝えた。それにはみんな納得している様子だった。
そして、その後に問い返しをした。「プラス極とマイナス極以外の場所だと絶対つかないの?」である。子供たちは、先ほど明かりをつけられたことに嬉しがって、他の部分はどうなのかについては調べていなかった。そのため、だれも分かっていなかったのである。
明かりがつくつなぎ方はどれか考える
そこで、先生の方から6つのつなぎ方を黒板に掲示した。
そして、『明かりがつくものはどれですか?明かりがつくと思うものに丸をつけてください』と言って、ワークシートを渡した。子供たちは先ほどの体験を根拠にしながら、◯をつけていった。その後全体で、意見を共有した。ほとんどのつなぎ方は、全員の意見が一致していたが、1つだけ意見がばらけた。それが6番である。そこで、『じゃあ、6番についてみんなで考えようか。人数の少ない方から聞いてみるね。明かりがつかないと思った人は理由はありますか」と尋ねた。理由を聞いてみると、「他のつなぎ方は、赤色の導線が乾電池のプラス極についているが、6番は青色の導線がプラス極についている。だから、明かりはつかないと思った」という意見だった。これには明かりがつくと答えた人も、「確かにそうかもしれない」といった様子だった。その後、明かりがつくと思う人の理由を確認した。すると、「乾電池のプラス極とマイナス極に繋がっていて、輪っかのようになっているから。明かりがつくと思った」と答えていた。どちらの意見にも「なるほど」といった感じだったので、『意見が変わる人はいますか』と尋ねた。しかしながら、誰も意見は変わらなかった。
3年生のつけたい問題解決能力は、『問いを見いだす』です。でも、『問いを見いだす』って難しいなと自分は感じています。少なくとも自然を体験させて、『さあ疑問に思ったことをかいてごらん』というのではうまくいかないと思っています。じゃあ、自分は、どうしているのかというと、今回みたいに『子ども同士にズレがおきたタイミング』で「じゃあ、調べたいことや疑問に思ったことは何?」と聞くのが好きです。これだと、(1)子どもにとって必然性がある、(2)教師の進みたいところと大きくズレないといった良さがあります。そして、もちろんこのときに、『比べる』という考え方を使っています。今回は、「自分の意見」と「友だちの意見」を比べているというわけです。
実験をする
私も初めは、『じゃあ、調べたいことや疑問を書いてごらん。次回、それを調べてみようか』という風に伝えました。しかしながら、子供達から「えっ!今やりましょうよ。このままじゃ、夜も眠れません」という風に言われました。そこで、『何を調べるの?』と尋ねると、子どもたちからは、「『どのようにつなぐと明かりがつくのか?』です。でも、導線の色が一番気になります」と言われました。子供の様子をみていると、それぐらい疑問に感じているのだなと思いました。しかしながら、残り時間は10分です。「うーん」と自分も悩んだのですが、子供たちの様子を見ていると「進めたい」という風な思いになりました。本来は『問いを見いだす力』を評価しようと思っていたのですが、自分のそういうところは甘いなってつくづく思います。でも、子どもの意欲以上に大事なものもないなと思って、そう判断しました。
そこで、「でも時間はないから、5分で解決してね」と伝えました。本来は視点をみんなで確認したかったのですが、意見のズレているところが明確だったため、子供たちだけで解決できると考え、そのまま実験をさせました。実際やってみると、6番も明かりがつきました。すると、子供たちから「銅線の色は、明かりがつくかどうかに関係ないんだね」という声が出ていました。そして、他の結果も見て、導線が乾電池プラス極とマイナス極に繋がっていて、1つの輪みたいになっていれば、明かりがつくということにも気づいていたようでした。
まとめ
『では、まとめをするよ』と伝えました。まとめをする時にもコツがあって、それは『言葉だけでなく絵も一緒に描く』ということです。せっかく、実験によってイメージを作っても、言葉だけで覚えてしまうと、何日か経つと忘れてしまいます。そのため、イラストと言葉をセットに描くようにしています。
今回は、先に明かりがつくつなぎ方のイラストを全員で書きました。そしてその後に、『乾電池のプラス極、豆電球、乾電池のマイナス極が、導線で1つの輪のように繋がっている時に明かりがつく』とまとめました。
その後、全員を集めて、赤い導線の方にだけ違う導線をつなげ、とてつもなく長い導線を作りました。そして、子供たちに、『動線を長くしました。乾電池のプラス極、マイナス極と豆電球につないだら、明かりはつきますか?」と尋ねました。すると、子供達の意見は見事に別れました。『じゃあ』といってつけるふりをしながら『結果は、次回の理科で調べてみましょう』と言いました。子どもたちは「え〜気になる。夜も眠れませんよ」と言っていましたが、スルーして授業を終えました。
2授業目が気になる方は、「理科専科がズバリ授業案を公開! 〜3年「明かりをつけよう」2授業目〜」を御覧ください(青色の部分を押すと記事に飛ぶことができます)
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