まだ1授業目を見ていない方は、先に理科専科がズバリ授業案を公開! 〜4年「電流のはたらき」1授業目〜をご覧ください。
<どうして、見た目は同じなのに、2つの車は反対に走るのかな?>
復習をする
まずはじめに、つぎのようなやり取りをしました
T:モーターを回すにはどうすればいいんだっけ?
C:導線を乾電池のプラス極とマイナス極につけます
T:そうだね。こうすると電気が流れて、モーターが回るんだったよね。ほんで、この電気の流れのことを何というかというと…
C:電流
T:そうだね
T:このモーターを使って、何を作ったかというと…
C:プロペラカー
T:そうだね。ほんで、走らせることができたんだよね。じゃあ、今日はこれの続きからやるね
前に進む車と後ろに進む車を見せる
電池の部分を隠した車を出し、子どもたちと次のようなやりとりをしました。
T:今日は2つの車をもってきました
C:なんか白い箱がある
T:そうだね。よくきづいたね。
T:2つの車を比べてみて、見た目はどうかな?
C:同じ
T:そうだね。電池の位置やプロペラの向きなど一緒だもんね
T::じゃあ、これを走らせてみるね。いくよ
C:えっ!逆向きにはしった。
T:そうなんです。見た目は同じなのに、2つの車は逆向きに走るんだよ。
C:なんでやろう?
T:じゃあ、今日の課題はどうするけ?
C:どうして、見た目は同じなのに、2つの車は反対に走るのかな?
T:じゃあ、それにしよう
といったような流れで、本時の課題である「どうして、見た目は同じなのに、2つの車は反対に走るのかな?」が決まりました。
予想をする
そして、子どもたちと次のようなやり取りをしました。
T:あやしそうなのはどこかな?
C:白い箱の中
T:白い箱の中には何があるかな?
C:電池、導線!
T:じゃあ、それらに注目しながら予想を立ててみよう
その後、全員がかけたのを確認して、子どもたちの予想を聞きました。子どもたちの予想は、「電池の向きを反対にする」でした。かけていない子もいたけど、友達の意見を聞いて、「なるほど」といった様子でした。他の意見は出なかったので、「じゃあ、本当電池の向きを反対にすると、車が反対に走るかやってみよう」と声掛けし、やらせました。
実験をし、わかったことを交流する
しばらくすると、「反対に走った!」という声!みんな満足そうでした。でも、もしかしたら別のやり方も見つけられるかもしれないなと思い、時間をとりました。残念ながら特にいませんでした。
そして、次のようなやり取りをしました。
T:じゃあ、席にもどるよ。どうだった?
C:電池を反対にすると、車が反対に走った。
T:そうだね。正解です。車の動きを反対にするには、電池を反対にすればいいんだよ
T:じゃあ、ノートにかこうね
C:(電池を反対にすると車は反対向きに走る)
T:でもね、この白いボックスの中こうなっているんだよ(写真を提示する)
C:あれ?電池の向き同じじゃん
T:そうなんです。電池の向きを変えると車って反対向きに走るんだけど、別のやり方もあるんだよ
T:はい。しらべてらっしゃい
そうして、「電池の向きは同じなのに、どうすれば車を反対に走らすことができるのか」について調べることになったのです。しばらくすると、「できた!」との声。すると、その子のもとにみんなが駆け寄ります。
C:なんか導線を反対に指したらできた?
C:こういうこと?
C:ちがう。プラス極にさしてある導線をマイナス極にさして、マイナス極にさしてある導線をプラス極にさした。
C:なるほど
C:うわ!できた
T:つまり、何を反対にしたの?
C:導線の位置
T:じゃあ、白い箱の中みてみようか
C:やっぱりそうだ!反対になっている
T:何が反対になっているの?
C:導線の位置
T:そうなんです、電池の向きが同じ時は、導線の位置を反対にすれば車は反対に走ります。よし。じゃあ、ノートに書こうか。
C:(導線の位置を反対にすると車は反対向きに走る)
まとめをする
「じゃあ、今日の課題は、『どうして、見た目は同じなのに、2つの車は反対に走るのかな?』だったよね。まとめどうする?」と聞くと、「乾電池か導線の位置が反対になっていればよい」とまとめることとなりました。そして、ふりかえりをして終わりました。
終わりに
東京書籍には、この1授業はなかったと思います。でも、自分はこの1授業はとても大事だと思っています。理由は、2つあって、(1)現代の子は、電池を使ったら逆に走るとかの体験がとぼしいから、(2)電流というみえない物をいきなり扱ってもわかりにくいから。(「電流や導線の向きを変える」→「電流の向きが変わる」→「車の向きが変わる」という関係性を捉えるために、見えるものを取り扱い、その後に見えないものを扱いたいと思ったから)です。
また、この授業では、白い箱をかぶせましたが、これは大事だとおもっています。もし白い箱がなかったら、「タイヤに秘密があるかも?」「プロペラに秘密があるかも?」といった意見が出てきて、電流になかなか焦点化されません。電流に目を向けさせたいなら、そこにしかけが必要であると自分は考えます。
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