理科専科が見方・考え方を解説! 〜『関係付ける』とは〜

問題解決能力/見方・考え方

初めに

 前回は、「比べる」という見方・考え方について紹介をしました。まだ読まれていない方は、「理科専科が見方・考え方を解説! 〜『比べる』とは〜」を御覧ください。

 今回、扱うのは「関係付ける」です。この見方・考え方は、一体どんな場面で役立つのでしょうか?また、「関係づける」という見方・考え方は、具体的にどういったものなのでしょうか?ということで、今回は、みなさんと一緒に「関係づける」という見方・考え方について学んでいきたいと思います。

「関係付ける」って学習指導要領には…

 まず、学習指導要領で「関係付ける」について確認をしてみましょう。学習指導要領には…

 「関係付ける」とは,自然の事物・現象を様々な視点から結び付けることである。「関係付け」には,変化とそれに関わる要因を結び付けたり,既習の内容や生活経験と結び付けたりすることなどがある。具体的には,解決したい問題についての予想や仮説を発想する際に,自然の事物・現象と既習の内容や生活経験とを関係付けたり,自然の事物・現象の変化とそれに関わる要因を関係付けたりす ることが考えられる。

                                 【理科編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説

と書かれています。また、4年生の身につけたい問題解決能力の中には…

第4学年では,主に既習の内容や生活経験を基に,根拠のある予想や仮説を発想するといった問題解決の力の育成を目指している。この力を育成するためには,自然の事物・現象同士を関係付けたり,自然の事物・現象と既習の内容や生活経験と関係付けたりすることが大切である。

                                【理科編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説

といったように、「関係付ける」に関する文言があります。

 実は、この2つの叙述を比べてみると、似ているところがあります。それは…

  •   予想や仮説を発想する
  •   自然の事物・現象と既習の内容や生活経験と関連付けたりする

といった叙述があることです。このことから考えると、「関係付ける」とは「根拠のある予想や仮説を立てるために使うものであり、そのコツは既習や日常生活をつなげることである」ということがわかります。

「関係付ける」って具体的には?

 では、既習や日常生活をつなげるとは一体どういうことなのでしょうか?

 第4学年では、「雨水の行方と地面の様子」という単元があります。それを例に上げながら、確認していきましょう。

 ぼん先生が通っている学校には、グラ運動があります。そのグラウンドは、水はけがあまりよくなく、水たまりがよくできます。その水たまりをよく見てみると、実は、水たまりができやすいところとできにくいところがあることに気づきます。子どもたちにそれを確認してもらった後、「どうして水たまりができないのだろうか?」という課題を出しました。

 そして、予想を書かせ、発表をさせました。すると、Aさんからは、「高いところから低いところに流れたからだと思います。理由は、野球をしていて、グラウンドが凸凹していると水が高いところから低いところに流れていたのをみたことがあるからです。おそらく、平らに見えても多少は斜めっているのではないのかなと思います。」という意見が出ました。Bさんからは、「水が染み込んだからだと思います。理由は、じょうろの水を土にかけると、水が染み込んで土の色が変わっているのを見たことがあるからです。」という意見が出ました。Cさんからは、「水が蒸発したからだと思います。理由は、前の理科の授業で、コップにラップをしていたら、ラップに水滴がついていて、水たまりでもおなじようなことが起きると思ったからです」という意見が出ました。

 まず、3人の意見を聞いてみて、どうでしたか?3人の意見に対し、「確かにそうかも」っておもいませんでしたか?そう感じたのは、3人が「関係付け」をできていたからです。Aさんは「野球のグラウンド整備」という日常生活と、Bさんは「ジョウロの水やり」という日常生活と関係づけていましたね。また、Cさんは「蒸発」という既習と関係づけていました。

 こういった発言が子どもから出れば、「自然の事物・現象と既習の内容や生活経験と関連付ける」というのはできているということだと思います。

『関係付ける』の必要性とは?

 では、根拠のある予想や仮説を発想するのはどうして必要なのでしょうか?

 これって言語化するのがすごく難しいのですが…

 先程の「どうして水たまりができないのだろうか?」という疑問って、可能性は無数にあると思うんです。もしかしたら、だれかがスコップで水をすくったのかもしれないし。となったら、自分が思うに「問題解決って自分の予想を正しいと証明すること」なんだと思うんです。そのために実験したり観察したりして証拠を集めるわけです。でも、それって逆に言えば、「予想がなかったら、いつまで経っても問題解決はできない」ということなんです。だから、予想は要ります。

 また、自分の予想が正しいかを調べる時、1こずつしかできないじゃないですか。そしたら、「だれかがスコップで水をすくったから」と「高いところから低いところに流れたからだと思います。理由は、野球をしていて、グラウンドが凸凹していると水が高いところから低いところに流れていたのをみたことがあるからです。おそらく、平らに見えても多少は斜めっているのではないのかなと思います。」という意見のどっちを先にやりますか?ぼん先生だったら、後者をやります。それは理由が明確で納得できたし、可能性が高そうだからです。

 この世界には未だに無数の疑問が残っています。「どうして人は誕生したのか」とか。限られた命の中で、自分の予想や仮説が正しいかを証明する時、可能性が高い方から行うのは至極真っ当なことだと思います。

 そういった理由から、自分は根拠のある予想や仮説を発想する力って必要なのかなって思います。

終わりに

 ということで、今日は「関係づける」について行いました。要するに、「日常生活や既習を使いながら自分の予想を説明してくれ」ということですね。それが、できるようになれば、自分の予想や仮説の説得力が増します。

 あとは、その予想が本当に正しいのかどうかを実験で確かめればいいということです。問題解決ってやっぱり協力が必要だし、その時に誰よりも説得力のある意見が出せれれば、それを取り上げてもらえそうですね。

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