まだ3授業目を見ていない方は、理科専科がズバリ授業案を公開! 〜3年「風とゴムのはたらき」3授業目〜をご覧ください。
<本当に風の強さを強くすると遠くに飛ぶのかな?>
復習をする
課題は、前回と同じのため、先に「本当に風の強さを強くすると遠くに飛ぶのかな?」をかいておきました。まず初めに、次のように復習をしました。
T:どうすれば一番遠くに飛ぶのかを調べていて、「下にバンっとうちわを強く振る」っていうのが良いってみつけたんだよね
C:はい
T:下にバンってやるのは、風の何に関係しているかというと…
C:向きです
T:そうだね
T:じゃあ、うちわを強く振るのは、風の何に関係しているかというと…
C:強さです。
T:そうだね。でも、うちわを強くふっても、進まないときもあったから、実験で調べることにしたんだよね
C:はい
T:じゃあ、今日は、この課題に対する答えをみんなで考えようか!
結果をグラフ化する
「これが前回の結果だね。」といって、黒板にみんなの記録を提示しました。そして、その後に、「これって表で記録をまとめているんだけど、科学者はグラフで表して考えることもあるんだよ。ということでグラフにしてみよう」と声掛けをしました。そして、ワークシートを渡しました。今回のグラフでは…
横軸 … 弱、中、強
縦軸 … 0〜1m、1〜2m、2〜3m、3〜4m、4〜5m、5〜6m、6〜7m,7〜8m、8〜9m、9〜10m、10〜11m、11〜12m
といったように、縦軸のメモリの取り方は工夫しました。3年生は棒グラフもならっていないので、そのメモリに合うところに記録をプロットできるようにしました。たとえば、弱の1回目が5m38cmなら、弱の5〜6mのところにシールを貼ります。これなら、3年生でもできます。
子どもたちとやり方を確認し、記録をグラフ化させました。そして、できたものを黒板に貼らせました。
グラフ化する良さを確認する
その後、次のようなやり取りをしました。
T:表とグラフだとどっちがわかりやすいと感じる?
C:こっち(グラフを指差す)
T:どうして?
C:例えば、弱の記録はだいたいこの辺とかぱっと見てわかるから
T:そうだね。グラフにするメリットはぱっと見てわかるところだよね
T:でも、グラフにもデメリットがあるんだよ。例えば、これって、何m何cmだったの?
C:わかりません
T:そうだね。その場合は、表をみるしかないよね
T:つまり、グラフの良いところは、ぱっと見てわかること、表の良いところは、正確な数字がわかることってことだね。だから、この両方を使うのが大事なんだよ
わかったことを書く
「じゃあ、表やグラフを見て、わかったことをノートにかいてごらん」と指示しました。その後、発表をさせました。子どもたちから出た意見は…
・同じ強さでも記録は変わる
・弱と中を比べると、差が大きい
・中と強を比べると、差が小さい
でした。そこで、「じゃあ、この課題に対する答えは何なの?風の強さと距離に関係はあるの?」と尋ねました。すると、関係があると答えたのが9割、関係がないと答えたのが1割でした。すると、子どもたちは…
C:関係あるよ。だって、弱、中、強ってなるほど記録伸びてるやん
C:でも、この辺記録一緒じゃない?
C:でも、中は8〜9mにたくさん集まってて、強は9〜10mにたくさん集まってるやん
だから、記録一緒じゃないよ
C:でも、弱と中は、グッて伸びてるけど、中と強は伸びてないやん。だから、中と強では記録あんまりかわらないってことじゃない
C:でも、ちょっとかわってるやん
といったように話し合いをし始めました。ある程度、堂々巡りしはじめたところで、教師がでました。そして…
「とりあえず、中と強のところがひっかかってるってことやね。じゃあ、中と強だけもっと記録集めてみたら?そしたら、中ってだいたいこの辺。強ってだいたいこの辺ってわかるんじゃないかな?」と言いました。
再度、実験を行う
これを聞いて、子どもたちは「なるほど」となり、急いで実験準備を始めました。時間も残り少なく、中が2回、強が2回しかできませんでした。実験結果は…
中…8m21cm、8m11cm
強…9m23cm、9m34cm
でした。そして、グラフに結果をプロットし、次のようなやり取りをしました。
T:中ってだいたい、どのへんなの?
C:中は8〜9mが多い
T:じゃあ、強は?
C:9〜10m
T:じゃあ、風の強さと距離は関係あるって言えるのかな?
C:言える
T:どうして、中と強を比べたら、記録が上がっているから
ということで、みんなが納得しました。そして、まとめとして、「風の強さは強くなればなるほど、遠くに飛ぶ」と書きました。その後、NHKの車を風で動かす動画を見せ、確かなものにしました。そして、まとめをして終わりました。
終わりに
今回は、(1)考察する前にグラフで見える化をする、(2)意見がバラけたときは、試行回数をふやすという2つの工夫をしました。グラフ化することで、大体の傾向が見えてきます。これが数字だけだとなかなか納得しにくいです。また、試行回数が増えると、より正確な値に近づきます。そうすると、納得感が増します。今回は、良い授業ができたなと思います。
続きが気になる方は、理科専科がズバリ授業案を公開! 〜3年「風とゴムのはたらき」5授業目〜をご覧ください。
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