1授業目を見ていない方は、「理科専科がズバリ授業案を公開! 〜6年「水溶液の性質」1授業目〜」を御覧ください。
<5つの水溶液を見分けるにはどうすればいいのかな?>
復習する
『前回は、水と塩水を見分けるために2つの実験をしてみたよね。なにか覚えている?』と聞くと、子どもたちは「顕微鏡で見る」「ろ過する」と答えてくれた。『そうだよね。ちなみに、顕微鏡で見分けられた?』ときくと、「できなかった」と言ってくれた。『そうだね』と言って、板書してある「顕微鏡」と言う言葉の上に大きくバツをかいた。そして、『じゃあ、ろ過はどうだった』と聞くと、「できなかった」と言ってくれた。『そうだよね』と言って、板書してある「ろ過」という言葉の上にも大きくバツをかいた。
水と塩水を蒸発させる
『じゃあ、水と塩水って見分けられないのかな?』って言うと、ある子から「蒸発すればいけると思う」という声!「たしかに行けると思う!5年生のときにやったわ」と後押しする声!『じゃあ、AとBのどっちのコップが塩水か蒸発して確かめてみよう』と声掛けをした。
子どもたちに準備をさせたが、動きは鈍い。実験準備をもっと自分たちでさせればよかったと後悔しつつも、じっと我慢。しばらくすると「準備できました。火をつけてもいいですか?」との声!
そして、それぞれの液体を蒸発させた。結果は、すぐに出た!Bだけ白い物が出てきた。これには、「おお〜」という声!今まで失敗続きだったので、嬉しい様子である。火を消させて、『じゃあ、前回の課題のまとめを書こうか』と言って、「水か塩水かを見分けるには蒸発させればいい」とまとめた。そして、全員に立って読ませた。
単元のゴールをつかむ
そして、『こんな風に、それぞれの水溶液の性質に着目することで、私達はたとえラベルが貼ってなくても何の水溶液か特定することができるんだよ。ということで、6年生の水溶液の勉強では、水溶液の性質について勉強するね。』と伝えた。その後、『今から問題文を書くからそっくりそのまま写してね』と指示を出した
問題は…
- 5つの水溶液(食塩水、炭酸水、塩酸、アンモニア水、石灰水)を見分けてください
である。全員が書き終えたのを確認して、『集合』と伝えた。
5つの水溶液(試験管にラベルは貼っていない)を出し、『さあどれがどの水溶液でしょう?』と尋ねた。子どもたちは、ジーッ見て「泡が出てる」「においがする」などの特徴を口にしていたが、「見分けられた人?」と尋ねると、全員が「シーン」と黙った。そのため、『大丈夫。今は0人だけど、これから勉強していけば、きっとできるようになるよ。ということで、この単元の終わりにもう一回同じ問題を出すね。それがこの単元のゴールだよ』と伝えた。
見分け方を考える
『でも、先生も、色々実験してみないとどれがどの水溶液かはわからないよ。じゃあ、どんな実験をすれば、5つの水溶液を見分けられると思う?作戦をノートにかいてごらん』と伝えた。
子どもたちから出た意見は…
- 蒸発させる
- 二酸化炭素をいれる
- 金属をいれる
- 見た目
- におい
- ふる
である。
見た目と匂いで判断する
そして、『この中ですぐにできるものはどれ?』と尋ねた。すると、「見た目」「におい」が出た。実際、東京書籍も「見た目」「におい」を1番目にさせており、その持って行き方としてはとても自然な流れだったと思う
そこで、5つの試験管を出した。今回の試験管には、それぞれの水溶液に名前シールが貼ってある。そして、見た目を観察させた。すると、「炭酸水は、泡が出ている」「他の液体は特に変わらないね」と言う意見が出てきた。そして、その意見をノートに書かせた。
ちなみに、「見た目」の実験のコツとして…
炭酸水は新品なのを授業の直前にいれること
石灰水は上澄み液を使うこと
の2つが挙げられる。特に、石灰水は、白い固体が入る可能性があるので慎重にやった。
次に、においをかがせた。匂いを嗅ぐ前に『どうやって匂いを嗅ぐか知ってる?』と聞くと、ジェスチャーをしてくれた。『そうです。直接匂いを嗅がずに、手であおいで匂いをかぎます。』と伝えた。その後に、食塩水→炭酸水→塩酸→アンモニア水→石灰水の順でかがせた。塩酸とアンモニア水のときに、子どもたちは「ウッ!と顔をしかめていた。
ちなみに、「匂い」の実験のコツとしては…
塩酸もアンモニア水も4%の濃度にしたこと
が挙げられる。あまりにも濃度が薄いと刺激臭はしない。その一方で濃すぎると危ないのでやめといたほうが良い。
そして、『匂いについて分かったことをノートにかいてごらん』と伝えた。子どもたちからは、「塩酸とアンモニア水はムヒみたいな匂いがした」という意見が出てきた。これにはちょっと驚いた。今の子たちもムヒ知っているんだなという驚きである。その意見を板書し、その下に刺激臭と書いた。本来は、教えなくてもいいのだろうが、どうせ中学校で習うので先に教えた。
そろそろ時間もいい頃になったので、『じゃあ、次回どれしたい?』と尋ねると、「蒸発がいい」という意見が出た。この授業の初めに蒸発をさせて、2つの液を見分けられたという成功体験があるからだと感じた。東京書籍も「見た目」「匂い」の後は、「蒸発」だったので、自然に持っていけたなと思っている。
終わりに
自分としては、5つの水溶液を見分ける方法として「顕微鏡で見る」「ろ過する」という意見が出なかったのは良かったなと思っている。また、次回は「蒸発をさせたい」という思いを引き出せたのも良かったなと思っている。
これは偶然ではなくて、しっかり1時間目に仕掛けたからである。もちろん早く進めたい気持ちは分かるのだが、「顕微鏡では見分けられない」「ろ過でも見分けられない」といった土台を揃えてあげたことで、子どもたちはスムーズにすすめたのだろうなとおもった。
続きが気になる方は、「理科専科がズバリ授業案を公開! 〜6年「水溶液の性質」3授業目〜」を御覧ください。
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