5授業目を見ていない方は、「理科専科がズバリ授業案を公開! 〜6年「水溶液の性質」5授業目〜」を御覧ください。
「今の力で5つの水溶液って見分けられるのかな?」
今日の問題をつかむ
『ねえねえ。今のみんなのチカラで5つの水溶液って見分けられるのかな?』
今回は、この一言から始めました。こんな授業は、教科書にはのっていません。しかしながら、自分はあえてこの時間を入れました。理由は…
- 炭酸水を作ったことでこの単元のゴールが見失われていると感じたから
- リトマス紙を使う必要性がほしかったから
の2つです。子どもたちは、「行けるかもしれない」「無理かも」「わかりません」と反応はバラバラ。『じゃあ、今日の課題は?』と尋ねると、「今の力で5つの水溶液って見分けられるのかな?」に決まりました。
書き方を確認し、やってみる
まず初めに、書き方を教えました。
① 5つの水溶液の名前をかく
② 実験方法を下に書く
③ 分類する
④ ②と③を続ける
です。言葉だけではわからないと思ったので、実際に黒板に書きながら教えました。『なにか質問はありますか?』と聞くと、「ありません」と言っていたので、始めさせました。
教室は一気にシーンとなりました。自分は、子どもたちが思考さえしていれば、ワイワイしているのも、シーンとなっていてもどっちも好きです。みんな謎解きみたいに真剣になやんでいましたね。
意見を共有する
しばらくしても、一向に「できました」という声があがらないため、『全員で考えてみようか』と伝えました。そして、Aさんを当てました。Aさんが描いたものがこちらになります。
見て分かる通り、蒸発、二酸化炭素を入れる、見た目という3つの方法で見分けようとしました。しかしながら、アンモニアと塩酸を見分けるところで詰まったようです。
その後、Bさんを当てました。Bさんが描いたものがこちらになります。
見て分かる通り、におい、見た目、二酸化炭素を入れるという3つの方法で見分けようとしました。しかしながら、これもアンモニアと塩酸で詰まったようです。
そこで、『どうやら今の力では見分けるのはできなさそうだね』と伝えました。これには、子どもたちも「そうだな」といった様子でした。『でも、できないからこそ勉強してかしこくなるんだよね。水溶液の見分け方ってまだまだあるから大丈夫。この調子で頑張れば、絶対に最後はできるようになるから。この後、勉強を続けていくけど、最後にもう一回こんな図を書いてもらうね。その時に気をつけてほしいのは、『実験回数はできるだけ少なくする』です。すくない手順で見分けられたほうが理科の力は高いんだよ。』と伝えました。
そして、まとめとして、「今の力では5つの水溶液を見分けることはできない」とまとめました。
リトマス紙との出会い
全員でまとめを読んだ後、『集合』と言って、教卓に集めました。そして、リトマス紙を教卓に置きました。『この紙を知っている人はいますか?』と尋ねたが、だれも知っている人はいませんでした。そこで、Aの液とBの液を青色リトマス紙につけたり、Cの液とDの液を赤色リトマス紙につけたりしました。すると、子どもたちから「え!色が変わったとの声!」そして、自分の席にもどし、次のようなやりとりをしました。
T この紙をリトマス紙といいます。赤色の方は赤色リトマス紙、青色の方は…
C 青色リトマス紙?
T そうです。青色リトマス紙といいます。実は、水溶液って酸性、中性、アルカリ性という3つに分類されるんだけど、その液が何性なのかを見分ける時に使うのがリトマス紙です。
T ある液を青色リトマス紙につけて赤色に変わったら、その液は酸性です。ちなみに、赤色リトマス紙に酸性の液をつけるとどうなると思う?
C …
T 見ててね。
C 特に変わらないですね
T そうなんです。変化はありません
T ある液を赤色リトマス紙につけて青色に変わったら、その液はアルカリ性です。ちなみに、青色リトマス紙にアルカリ性の液をつけるとどうなると思う?
C 変わらない?
T みててね
C やっぱりかわらないですね
T そうなんです。変化はありません
T ある液を赤色リトマス紙や青色リトマス紙につけて変わらなかったら、その液は中性です。
T 要するに、赤色に変えるのが酸性、青色に変えるのがアルカリ性、変わらないのが中性ということです
子どもたちは、一生懸命メモしていました。『じゃあ、次回何をするかと言うと…』というと、「なるほど。5つの液が何性なのかをしらべるんですね」という声が上がりました。『正解。そうすれば、新しい分類方法を学べるかもね』と伝えました。そして、振り返りをして終わりました。
終わりに
今回は、5つの液を見分けられるのかを試しにやってみました。これは、最終的に教師が出ずに子どもたちだけで、相談して進めてほしいと考えていて、そのための大事な仕込みという位置づけです。今回でやり方は分かったと思うので、おそらく次はスムーズにできるかなと思います。だんだんだんだん理想の授業に向けての準備ができている気がします。もしぼん先生の理想の授業が気になる方は「理科専科はどう考える?! 〜理想の授業とは?〜」から御覧ください。
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