理科専科は、実験中に何を考えているのか?! 〜大事にしたい5つのこと〜

理想の授業

はじめに

 自分は、子供の力だけで実験をしてほしいと思っています。その理由は、教師が「あれして!これして!」と言っていては、いつまで経っても実験スキルがつかないからです。そして、子どもを鍛えずに、教師1人ですべてのグループを支援するのは不可能だと思っているからです。そのため、子どもたちが多少手こずっていても子どもたちから助けを求められない限り、基本的には手出しも口出しもしません。

 じゃあ、ぼん先生は実験中ボーッとしているのかというと、しっかりとやるべきことをやっています。放任と任せるは、ちがいますからね!

 ということで、今日は、理科専科は、実験中に何を考え、何をしているのかについてお伝えします。

ズバリ! 考えていることは5つ!!!

考えていることは、大きく分けて5つあります。その5つとは…

  •   動けるグループと動けないグループを確認したい
  •   実験のスタートが正しくできているのかについて確認したい
  •   他のグループが実験を正しくできているのかを確認したい
  •   実験の安全性や進捗具合を確認したい
  •   次の指示をどうするかについて考えたい

です。それぞれについて説明します

理科専科が実験中に考えていること①

動けるグループと動けないグループを確認したいについて

 実験前には、準備するものや実験のやり方を確認します。そして、子どもたちからの質問を聞いた後、「実験を始めてください」と指示を出します。

 実験を始めさせた後、まず初めにやるべきことは、「説明を理解できているグループと理解できていないグループを把握すること」だと自分は思っています。それをどうやって判断するのかというと、「動けているか動けていないか」です。理解できているグループは、理科室のいろいろな場所に行って、物を取ってきます。理解できていないグループはグループ内で「え!どうすればいいん?」って話し出します。これを把握していないとどのグループがこの後つまづくのかを予想するのが困難になります。

 もちろん。困っているからといって、そのグループの手助けはしません。ここで、手助けをしちゃうと、「別に話を聞かなくても、先生が助けてくれるんだ」となってしまうからです。「うわ、まずい」と思わせることで、「次のときは、しっかり聞かないといけない」という思いにさせたいし、困ったら自分で声をあげられる子になってほしいなと思っています。

 「動けているか動けていないか」を判断する時のコツは、全体を俯瞰できる位置に立ち、その場から動かず全体をジーッと観察することだと思っています。すると、だんだん分かってきます。

理科専科が実験中に考えていること②

実験のスタートが正しくできているのかについて確認したいについて

 準備の遅いグループに発破をかけた後、その次にやるべきことは「準備が早くできた子への支援」だと思っています。この子たちは、よく説明を聞いているので、実験のやり方のイメージさえ湧けばどんどん自分たちで進められます。でも、先生の実験のイメージと子どもの実験のイメージがズレている可能性もあります。だから、スタートは、よく見ておきます。「正しくできるし、大丈夫だな」と思えば、ほとんど任せます。でも、ちょっと修正したいことがあれば、「こうすればいいよ」と短くアドバイスをします。

理科専科が実験中に考えていること③

他のグループが実験を正しくできているのかを確認したいについて

 理想は、全部のグループの実験のスタートを見たいのですが、無理なことが多いです。そのため、実験しているグループをササッと見て、おかしいところはないかを確認します。そして、支援が必要であれば、短くアドバイスをします。

理科専科が実験中に考えていること④

実験の安全性や進捗具合を確認したいについて

 この段階で、すべてのグループの実験のスタートを確認できたので、今回の実験は大丈夫かなと内心では思っています。その後は、「実験が安全にできているかな?」っていうのと「進捗具合がどれくらいなのかな?」っていうのを意識しながら、全体を机間巡視します。

 進捗具合については、特に中間のグループがどれくらいなのかを意識してみています。ただ、遅いグループは本当に遅いので、はやいグループの進捗具合を伝えます。そうすることで、遅いグループが「え!やばっ!いそがないと」ってなり、がんばろうとします。

理科専科が実験中に考えていること⑤

次の指示をどうするかについて考えたいについて

 これについては、日によってバラバラです。もう一回実験させることもあれば、考察を書かせることもあれば、手助けにいってきてとお願いすることもあれば、片付けをさせることもあれば、気になることを自由に実験させることもあります。

 少なくとも、「やることが何もない」という状況だけにはさせません。やることが何もない状況になると、子どもたちが遊びだすかもしれないからです。そうなると、脳のリソースを本来は遅いグループのために使いたいのですが、早く終わったグループにも使わなければいけないので大変です。だから、空白の時間を作らないことは心がけています。

終わりに

 実験は、「早く」「正確に」「安全に」が基本だと思います。それを実現するためには、子どもを育ててしまうのが早いと思います。

 4月は、話を聞いていなくて動けないグループがやっぱりいます。でも、「絶対にこの子たちも変われずはず」「自分が入ったほうが早くできるな」という手助けしたい気持ちをグッと我慢してやらせます。

 悪いところがあればどんどん伝えます。それで、次の実験のときに1個でもよくなっていれば、褒めて伸ばします。褒められるのはやっぱりうれしいですからね。そんな風に地道に鍛えていけば、子どもたちの実験スキルも上がって、最終的に先生もすごく楽になります。

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