理科専科がズバリ授業案を公開! 〜5年「植物の発芽と成長」1授業目〜

植物の発芽と成長

<発芽するには何が必要なのか?>

板書案

初めに

 実は、自分は「天気の変化」からではなく、「植物の成長と発芽」から始めるようにしています。理由は、「天気の変化」って条件制御の考え方があまり出てこないからなんです。せっかく、授業開きで、条件制御のイメージを沸かせたのに、それが流れるのはもったいないなと思い、単元を入れ替えています。

復習する

T;今日から新しいところに入ります。タイトルは、植物の発芽と成長です。ノートに書きましょう

C:かけました

T:みなさんは今まで色々な植物を育てましたよね。どんな植物を育てましたか?

C:トマト、ホウセンカ、ナス、ヘチマ、オクラ、ピーマン、朝顔、ひまわり、大豆

T:そうだね。じゃあ、育つ順ってどうだったけ?ペアで相談

C:できました

T:最初は?

C:たね

T:続きを教えて

C:子葉、大人の葉、つぼみ、花、実

T:実の中には?

C:たね

T:そうだね。そしたら、またスタートに戻るっていうのを3年生で勉強したんだよね

C:はい

T:今回、注目したいのはこの辺です

C:種と子葉

T:そう。この部分について詳しくやっていくよ

問題を把握し、課題を掴む

T:そしたら、ノートに書いてほしいんだけど・・・・

植物の種子が芽を出すことを発芽という

C:できました

T:種子って何のことかわかる?

C:種

T:そうそう。種のことを5年生では種子といいます。ほんで、種子から子葉が出てくるやん。あの現象のことを発芽と理科ではいいます

C:はい

T:ほんでね、今日インゲン豆の種子を持ってきたんやけど、これです。

C:へ〜。インゲン豆の種子ってこんなかんじなんや

T:これ実は3年前に買ったんです

C:え〜けっこうたってるんですね

T:ねえねえ。どうして袋の中に入っている種子って発芽しないの?

C:え?

C:水がないからじゃない?

T:ちょっとペアで相談

C:たしかに水がないからかも

T:そしたら、実は、ある条件が満たされないと発芽って起きないんですよ。いろいろなグループからほにゃららの条件がないからじゃないなどの声が出ていたのですが、一体発芽に必要な条件ってなんなんでしょうね。ということで、今日の課題は?

C:発芽するには何が必要なのか

T:じゃあ、それでいこう

ということで本時の課題として「発芽するには、何がひつようなのか」に決まりました。

植物を育てた経験を思い出す

T:そしたら、発芽するのに、必要なものを予想してもらいます。ほんで、君たちは発芽させた経験があるはずだから、そのときの経験とつなげながら予想するといいですね。ではどうぞ

C:はい

C:できました

T:おしえて

C:はい

T:Aさん

C:はい。水だと思います

C:おなじです。ほかにあります

C:Bさん

C:土です。

C:おなじです。ほかにあります

C:Cさん

C:日光です

C:同じです

T:ほかにありますか?

C:ないです

T:これって全部発芽するには必要なんですね?

C:たぶん

C:水はいりそう

C:日光っていらなさそう。だって、土の中日光当たらんくない?

C:でも、土に水しみこむから、日光もあたってそう

C:たしかに

T:これって全部発芽するには必要なんですね?

C:う〜ん

T:じゃあ、どうする?

C:実験する

T:そうだね。話し合っても進まんから実験して確かめるしかないね

実験で大事なことは何かを確認する

T:そしたら、実験方法を考えるよ

C:はい

T:実験方法で大事なことは何?

C:条件制御

T:条件制御って何?

C:調べたい条件は変えて、他の条件は同じにするです

T:そうだね。理科の場合、一気に2個条件を変えちゃうと、Aの条件のせいなのか、Bの条件のせいなのかわからなくなっちゃうから、1個ずつ調べるしかないんだよね。そのときに大事なのが条件制御です。

C:はい

T:じゃあ、これをつかって、まずは水についてやってみよう。

C:はい

水の実験方法をかんがえる

T:水が必要かどうかなので、変える条件は?

C:水

T:そうだね。じゃあ、水ありと水なしを作らんとだめだね

C:はい

T:ほんで、水ありの方はこんなふうに作るわ

C:はい

T:気づいたことは?

C:種子が3つあります

C:ガラスの器の中になんか綿みたいなのがあります

T:ガラスの器のことをシャーレといいます。ほんで、綿のことを脱脂綿といいます。脱脂綿はどんな様子?

C:ぬれています

T:そうだね。じゃあ、こっちを水ありとしたとき、水無しはどんなふうにすればいい?イラストをかいてごらん

C:はい

C:できました

T:そしたら、確認するよ

T:まず、シャーレがいるね。どんなシャーレ?

C:形も大きさもまったく同じやつ

T:そうだね。ほんで、何いれればいい?

C:脱脂綿

T:そうだね。Aは脱脂綿使ってるもんね。これは、濡らすの?

C:濡らさない

T:そうだね。Bは水なしだから、水入れたらだめだよね。ほんで?

C:種子を3つ入れます

T:そうだね。これで完成。つまり、今回変えない条件は?

C:脱脂綿、種子の数、シャーレの大きさと形

T:ということだね。こうすればOKってこと

T:ちなみに、水は発芽にいると思う?

C:はい

T:じゃあ、Aはこのあとどうなりそう?

C:発芽する

T:Bは?

C:発芽しない

T:というふうな結果になりそうだね

土の場合の実験方法を考える

T:じゃあ、次は土についてやるよ。土が必要かどうかなので、変える条件は?

C:土

T:そうだね。じゃあ、土ありと土なしを作らんとだめだね

C:はい

T:ほんで、土ありの方はこんなふうに作るわ

C:はい

T:じゃあ、土無しはどんなふうにすればいい?イラストをかいてごらん

C:はい

C:できました

T:そしたら、確認するよ

T:まず、シャーレがいるね。どんなシャーレ?

C:形も大きさもまったく同じやつ

T:そうだね。ほんで、何いれればいい?

C:何も入れない

T:なるほどね。それでOKなんだけど、直接置きたくないから今回脱脂綿入れさして。

C:いいんですか?

T:大丈夫。だって、土が必要って考えていて、Bには土は入ってないでしょ。だから、大丈夫。

C:なるほど

T:ほんで、どうするの?

C:種子を3つ入れます

T:そうだね。ほんで?

C:水をいれます

T:そうだね。これで完成。つまり、今回変えない条件は?

C:種子の数、シャーレの大きさと形、水をあげる

T:ということだね。こうすればOKってこと

T:ちなみに、土は発芽にいると思う?

C:はい

C:いやいらないと思う

T:なるほどね

日光の場合の実験方法を考える

T:じゃあ、最後に日光の場合をやるよ

C:はい

T:日光が必要かどうかなので、変える条件は?

C:日光

T:そうだね。じゃあ、日光ありと日光なしを作らんとだめだね

C:はい

T:ほんで、日光ありの方はこんなふうに作るわ

C:はい

T:じゃあ、日光無しはどんなふうにすればいい?イラストをかいてごらん

C:はい

C:できました

T:そしたら、確認するよ

T:まず、シャーレがいるね。どんなシャーレ?

C:形も大きさもまったく同じやつ

T:そうだね。ほんで、何いれればいい?

C:脱脂綿

T:ほんで、どうするの?

C:種子を3つ入れます

T:そうだね。ほんで?

C:水をいれます

T:ほんで、日光ありとなしはどうすればいい?

C:日光ありは日なたにおいて、日光なしは日陰におきます

T:なるほどね。日なたはどこにおけばいい?1日中日なたの所が良いよね

C:南だ

T:すばらしい。じゃあ、南ならこっち側かな。ひかげは?

C:この辺

T:じゃあ、そうしようか

グループに分かれて準備をする

T:そしたら、Aグループは水、Bグループは土、Cグループは日光の実験の準備をしてください。シャーレはここにあります。必要な道具は教卓に出しておきます。しつもんありますか?

C:ないです

T:じゃあ、どうぞ

C:はい

C:できました

条件制御のコツを教える

T:今日、伝えたかったのは条件制御の考え方です。自分で予想を立てた後、それが正しいかどうかを実験で調べます。実験方法を考えるときに大事なことは?

C:条件制御

T:条件制御とは?

C:調べたい条件は変えて他の条件は同じにする

T:ですね。そんな風に調べないと、どの条件が結果に影響を及ぼしたのかわからなくなるもんね。

T:じゃあ、あとはしばらく置いて、発芽するかどうかを待ちましょう。今日のみなさんはとてもよかったですよ。

T:今回は、もう時間がないので、振り返りは省略します

終わりに

 子どもが納得するときって自分の目でしっかりと真実を見たときだと思っています。

 教科書では、「脱脂綿つかっても発芽した。だから、土なくても発芽する」って言ってるけど、子どもはその理屈を伝えても、心が揺さぶれたわけではないので、知識の定着は薄いと思います。

 だから、自分は土や日光もやるべきだと思っています。「土はいるはず。え〜土があってもなくても発芽するんだ」っていう感動があるから理科はおもしろい、実感を伴った理解になります。大変だけど、そこをサボらずにしていきたいです。

 あと、条件制御については、分かった子とわからない子に分かれたかなと思います。これは、しかたがないので繰り返しやるのみです。でも、やるうちに分かるようになると思うので、少しずつ鍛えて行きたいなとおもいます。

 ぼん先生の理想の授業が気になる方は、「理科専科はどう考える?! 〜理想の授業とは?〜」を御覧ください。続きが気になる方は、「理科専科がズバリ授業案を公開! 〜5年「植物の発芽と成長」2授業目〜」を御覧ください。

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