まだ6授業目を見ていない方は、先に理科専科がズバリ授業案を公開! 〜5年「魚のたんじょう」6授業目〜をご覧ください。
<はらのふくらみはなぜなくなったのか?>
課題を掴む
まず初めに、子どもたちと次のようなやりとりをしました。
T:前回は、どんな勉強をしましたか?
C:7日目の受精卵の観察をしました
T:そうだったね。しかも、メダカの子がかえったね
C:はい
T:じゃあ、今日はこれの続きね。
T:実は、これ受精した直後のメダカの写真ね
C:はい
T:ほんで、これが5日後のメダカの写真
C:あれ?ちょっとちがくない?
T:そうだね。この2つを比べると違うところがあるから、ノートに書いて
C:できました。
T:教えて
C:腹の膨らみがへっている
C:こっちは透明だったけど、こっちは色がついた
C:目の色が違った
T:そうだね。いろいろな違いがあるよね
T:今日の問題は、Aさんが言ってくれたんだけど、メダカって生まれてから時間が経つと、お腹が凹むんだよ。これなんでなんだろうね
C:う〜ん
T:じゃあ、今日の課題は?
C:はらのふくらみはなぜなくなったのか?
ということで、本時の課題は「はらのふくらみはなぜなくなったのか?」ということになりました。
予想する
その後、「じゃあ、もしかしたらでいいから自分の考えをかいてごらん」といい、時間を取りました。そして、ある程度の時間がたったら、「予想を教えてください」と言いました。子どもからは…
・えさがあんまり食べれなくて、お腹が凹んだ
・腹が凹んだのではなく、体が大きくなった
・腹の中に養分があり、養分を使ったから
・腹の膨らみを食べた
・泳いでダイエットした
といった意見が出ました。そこで、「じゃあ、どれだと思うか。相談」といって話し合いをさせました。子どもたちは、ネームプレートを貼ったり、それを選んだ理由を話し合ったり、「これは違うよね」と言ったりして意見を絞っていました。
事実を提示し、話し合いをさせる
その後、教師の方から、「メダカの赤ちゃんは2〜3日ご飯を食べない」「3日後くらいから餌を食べ始める」という事実をホワイトボードで提示しました。すると、子どもたちは…
C:体が大きくなったは違うんじゃない
C:なんで
C:だって、餌も食べずに、体大きくならないのでは?
C:そうだね
C:じゃあ、これは消そうか
C:腹の膨らみをたべたっていうのも変じゃない?だって届かなくない?
C:そうかも
C:じゃあ、これも消すよ
この後、3つの意見で迷っていました。
C:2〜3日も餌を食べなくて大丈夫なんかな
C:わからん
C:でも、こんなおおきい袋あったら邪魔じゃない
C:邪魔そう
C:じゃあ、なくなるようにダイエットしないとダメじゃない
C:でも、食べなくてもダイエットするやん
C:たしかに
別の事実を提示し、話し合いをさせる
そこで、「腹の膨らみがあると良いことがあります」という事実をホワイトボードに示し、掲示しました。
C:じゃあ、腹の中に養分があるじゃない
C:養分あったら何良いの?
C:それ使えば、餌取れなくてもいきてけるやん
C:たしかに
C:じゃあ、やっぱりこれじゃない
という流れになりました。そして、「じゃあ、動画を見てみようか」といって、動画を見せ、腹の中に養分があり、その養分を使って成長することを確認しました。
その後、じゃあ、「まとめを書くよ」といって、「腹の中には養分があり、その養分を使って成長するから」と書きました。
別の魚はどうなのかを確認する
そして、鮭の赤ちゃんの写真も見せました。「鮭の赤ちゃんもはらがふくれている」という声が出ていました。「そうだね。なんでだと思う?」と聞くと、「腹の中に養分があり、その養分を使って成長するから」と答えていました。その後、振り返りを書かせ、終わりました。
終わりに
今日の授業の鍵は、教師がどんな事実を提示し、子どもたちに何を気づかせるかということだと思います。例えば、膨らみがなぜなくなったのか、予想を立てさせた後、議論していましたが、その話し合いは絶対に収束しません。そこで、教師が新しい事実を提示し、その事実と結びつけながら、真実をみんなで考えるというのが大事だと思います。この時、難しいのが、「どんな事実を提示するか」です。あまりにも核心に迫るような事実だと、すぐに答えが出てしまうし、曖昧な事実だと子どもたちに議論が錯綜してしまいます。今回で言えば、「腹の膨らみがあると良いことがあります」というのは攻めすぎたのかなと思います。時間が迫っていたのもあったのですが、それは検討が必要だなと思います。
しかしながら、こんなふうに話し合うことで、「腹の膨らみがあるメリット」を多面的に考えられたのは良かったのかなと思います。
これで一応、教えたいことは全部できました。なので、魚のたんじょうは以上となります。
コメント