理科専科がズバリ授業案を公開! 〜6年「動物のからだのはたらき」4授業目〜

動物のからだのはたらき

 まだ3授業目を見ていない方は、先に理科専科がズバリ授業案を公開! 〜6年「動物のからだのはたらき」3授業目〜をご覧ください。

<本当に唾液がでんぷんを別のものに変えたのか?>

板書案

ふりかえり

C:前の学習のふりかえりをしましょう

C:はい

C:Aさん

C:前の課題は、「本当に唾液がでんぷんを別のものに変えたのか?」です

C:同じです

T:そうだね。ということでこの予想が正しいのか実験して確かめるために実験方法を確かめたんだよね。どんな実験方法だったかな?ペアで相談

C:はい

C:できました

T:まずはなにをするの?

C:でんぷんのはいった水を作ります

T:そうだね。ほんでその後は?

C:でんぷんのはいった水を袋に入れ、Aには唾液をふくませた綿棒、Bには水をふくませた綿棒をいれます。

T:そうだね。ほんでその後は?

C:40度のお湯で10分温めます

T:そうですね。なんで40度のなの?

C:口の中の温度と同じにするためです

T:そうだね。ほんでその後は?

C:ヨウ素液を入れます

T:そうだね。もし、君たちの予想通り唾液がデンプンを別のものに変えたとしたら、Aはヨウ素液いれたらどうなる?

C:変化なし

T:なんで?

C:別のものとヨウ素液は反応しないからです

T:そうだね。Bは?

C:青紫色になるはず

T:そうだね。だってデンプンだもんね

C:はい

T:じゃあ、今日は何をするの?

C:実験です

T:そうだね。今日は実験で結果を出すのをがんばりましょう

といって本時の課題として、「本当に唾液がでんぷんを別のものに変えたのか?」とかきました。

実験する

T:じゃあ、後ろに必要な道具と具体的な分量や手順が書いてある紙をおいておきます。これに従って実験をしてください

C:はい

T:この時間は困っていても先生から手を貸すことはしません。ただし、わからないことがあって質問してきたときはちゃんと答えます。6年生なので、自分たちの手で真実を見つける力をつけてあげたいからね

C:わかりました

T:あと、想像している以上に、この実験は時間がかかります。だから、しっかり協力して先をみこしながらやってください。質問はありますか?

C:ないです

T:では、はじめてください

【重要】実験を成功させるための秘訣について

ちなみに、手順の紙には次のようなことをかきました。

① 10mlの水に0.3gのデンプンを入れて混ぜる

② ①でできた液に110mlのお湯をいれてまぜる

③ ②でできた液を少し取り(2ml程度)、ヨウ素液に゙反応するか確かめる

④ (反応すれば)②でできた液をAとBの袋に2mlずついれる

⑤ 先生に綿棒を貰いに来る

⑥ Aには唾液をふくませた綿棒をいれる。

  →ストローで唾液を追加する(代表者ははずかしかったら見えないところでやっていいよ)

⑦ Bには水をふくませた綿棒をいれる

⑧ 40度のお湯にAもBも10分間いれる

  →40度にキープできるようにホットプレートで温度調整する

⑨ ヨウ素液を入れる

この実験がうまくいくための鍵は、「デンプンの濃さ」、「唾液の量」、「時間」になります。

デンプンの濃さ・・・薄いほうがいい(濃いと反応に時間がかかるから。ただし薄すぎるとだめです。デンプン+唾液もデンプン+水も薄すぎてヨウ素液にどちらも変化しないという結果になっちゃうから)

唾液の量   ・・・多いほうがいい(唾液が多いとその分反応します。そのため、ストローをつかってこれでもかっていうくらいに入れさせたほうがいいです)

時間     ・・・長いほうがいい(デンプンと唾液が反応するのに時間がかかります。当然長いほうがしっかり反応できます)

※ デンプンの入った液の濃さは自分も模索中です。そのため、予備実験は必ずしてください。十分失敗する可能性はあります。デンプンの入った液の濃さは1%だといいというのを聞くのですが、実際にやってみたら10分では唾液が反応しないことが多い気がします。そのため、割と薄くしています。

※ このあとの展開を見ていただければわかるのですが、自分は本時ではヨウ素液は入れません。次時でヨウ素液を入れます。やっぱり唾液が反応するまでにはある程度時間がかかるからです。10分じゃ短いです。

実験中について 

 その後は、子どもたちだけで実験をさせました。もちろん主体的で理解度が早く協力ができこまったら質問ができるチームはどんどん進みます。しかしながら、そうではないチームは時間がかかります。もちろん、初めに宣言したので、困っていても子どもたちから質問にくるまで、一切手を貸しませんでした。

 そろそろ授業の半分くらいになって、このままだと時間内におさまりきらなそうだなってなったタイミングでよびかけ、次のようにやり取りをしていきました。

実験の心構えを知る

T:そしたら、今よんだチームはきっと時間内におさまるかおさまらないかギリギリのチームだと思う。どうけ?難しい?

C:はい。難しいです

T:そっか〜。

T:そしたら、君達にある動画を見てもらいたいんだけど・・・

(動画視聴中)

T:これはぼん先生が出張で見たあるクラスの6年生の様子。そして、次にみせるのが今日の君たちの様子

(動画視聴中)

T:どうけ?

C:ぜんぜん違う

T:どこがちがう?

C:なんかすごい協力できてる

C:みんな何かをしている

T:そうだね。理科は自分の手で真実にかえる勉強だよ。誰かに実験を任せて、自分は見ているだけ・・・それではだめだよ。

T:6年生の実験はやることも多いし、難しくなる。でも時間は限られているから、時間内にしっかりと自分たちの手で真実をはっきりさせてほしい。そのために、君たちには「主体性」と「協力」を身につけてほしい。わからなかったら聞く。任せるところは任せて先の準備をする。そういったマインドがないと絶対に実験スキルは高まらないよ。じゃあ、今回それができていたかい?

C:できてません

T:そうだね。でも、まだ今は6年生の1学期だ。変わる子は本当に変われるよ。あとは意識するかどうかだ。まずはわからないことを先生に聞くことからはじめよう

C:はい

C:先生。あの・・・

T:あ〜、それはね・・・

ふりかえりをする

T:そしたら、とりあえずどのチームもお湯にいれるところまではいったね。

C:はい

T:ここから10分待つんだけど、授業の残り時間は何分?

C:8分

T:ということは、この段階で実験を時間内に収めることは

C:できなかった

T:っていうのが確定したね

C:はい

T:そしたら、ある動画をみてもらいたいんだけど

(動画視聴中)

T:6年の実験は作業が多くなったり、難しくなったりします。だからこそ、時間内におさめるには、こんな姿が必要なんです。自分は何ができるのかを考え、役割を分担し、チームとして実験をする。そして、ときには失敗し学びながら実験スキルを高めていく。私が君たちに求めるのはこんな姿です。

T:今日は時間内におさめられなかった。これはまぎれもない事実です。だから、しっかり振り返りをしましょう。今日の自分の実験はどこが良くてどこがわるかったのか?実験を時間内に収めるために大事なことはなにか?などです。今日の失敗からぜひ学んでください

C:はい

C:できました

T:チームで相談

C:はい

T:じゃあ、終わろう。振り返りの姿良かったよ。だから、きっと君たちはうまくなると思うよ。次がんばろう

C:はい

終わりに

 まだ6年生の1学期です。まだまだ仕込みの時期です。今日の授業を通して、子どもたちに「実験に対する姿勢を実感させること」ができたのであれば全然OKだと思います。

 「実験前にわからないことがあれば質問しないと動けないんだな」「1つの作業をチーム全員でやるのは効率が悪いんだな」「任せるところは任せて先にできることをやればいいんだな」「こまったらすぐに先生に質問しないとだめなんだな」「お客さんになったらだめなんだな」など子どもたちは色々振り返りで気づいていました。

 自分としてはお湯につけるのまでいけば、次の授業まで唾液が反応する時間を確保できるので、気にしてません。こういう失敗も主体的な学びのためには必要だと思います。

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