理科専科がズバリ授業案を公開! 〜3年「風とゴムのはたらき」2授業目〜

風やゴムのはたらき

 1授業目を見ていない方は、先に理科専科がズバリ授業案を公開! 〜3年「風とゴムのはたらき」1授業目〜をご覧ください。

<どうやったら車が一番遠くまで飛ぶのかな?>

問題を掴む

 まず初めに子どもたちと次のようなやり取りをしました。

T:前回、手を使わずに車を走らせたよね。何の力を使ったかな?

C:風です

T:そうです。風には物を動かす力があるからです。

T:では、今日の問題を書きます。今日の問題は、「風の力で一番遠くまで車を飛ばそう」です。

C:おもしろそう

T:今日は色々なことを試しながら、どうやったら一番遠くまで飛ぶのかを見つけてください

C:はい

 こうして、課題は「どうやったら車が一番遠くまで飛ぶのかな?」になりました。

やり方を説明する

 全員が課題を書いたあと、絵を書きながら説明をしました。

T:まず、ここがスタートラインね。ほんでひとあおぎでどれくらい遠くに飛ぶかで勝負しよう。それぞれのグループの条件を同じにするために、(1)帆は大きいものをつかう、(2)うちわを使う を守ってください。なにか質問はありますか?

 子どもたちは、「ありません」と答えました。その後、「大事なのは遠くに飛んだチームが偉いのではなく、チームで協力し試行錯誤しながら遠くに飛ぶ方法を探そうとしているチームが偉いのです。がんばってね」と言い、始めました。

実験をする

 そこからは、子どもの時間なので教師は基本的には見守っています。ここではAチームの様子を紹介します。

 Aチームは4人なので、仰ぐ人をローテーションしながら調べていました。このチームがまず行ったのは、全力でうちわを振るということです。しかしながら、車はなかなか進みませんでした。その時、子どもたちはこのようなやりとりをしていました。

C:強くふってもぜんぜんとばんね

C:かしてみて

C:あれ?ぼくのときは飛んだよ

C:かしてみて

C:あれ?ぜんぜんとばないよ

C:なんか思った以上に進んでない

 遠くに飛ぶときと飛ばない時があったり、全力でやっているにもかかわらず思った以上にとばなかったりしていて、そこに子どもたちは興味を持っていました。

 しばらくすると、ある子が「じゃあ、バンって床にあててみるわ」という意見を出し、これで一気に流れが変わりました。なんと、バンって床にあてると、車がスーッと進み、一番の記録になったのです。この様子を見た他の子たちは、「代わって。代わって」となりました。他の子がやっても、多くの場合、かなりの距離を進むようになったのです。

 さらに、他の子が「ジャンプしてその勢いで床にバンってやるともっといくのでは?」といいました。やってみると、全然進みませんでした笑 こんなふうに上手くいかないときもやっぱりあります。

 すると、また他の子が「どれもバンってやってるのに、私のときは全然いかない」と言い出しました。すると、一番進んだ子が「うちわを早くうごかしてみて」と言いました。やってみると、さっきよりは行ったみたいですが、まだまだ距離があるみたいです。

 ある程度経験できたかなと思ったので、「はい、じゃあ残り5分ね。それまで色々やってみて」と言いました。そして、「よし。じゃあ、教室に戻るよ」と言いました。

気づいたことを発表する

 そして、「気づいたことをノートに書いて」と言いました。子どもたちは、猛スピードでペンを動かしていました。「じゃあ、教えて!」と言うと、このような意見が出ました。

・床にバンってやったほうが、遠くに飛ぶ

・はやくふったほうが遠くに飛ぶ

 そこで、教師から「床にバンってやると何がいいのだろうか?」と問い返しました。

 すると、子どもたちから「下の空気がブワってなるから」という意見が出ました。「どういうこと?絵とか使って教えて」というと、「下の空気がブワって動いて、帆にあたって、それで動いたんだと思う」と言ってくれました。「じゃあ、上らへんをあおいでいたら、空気はどのへんに行くと思う?」ときくと、「この辺」と言って、帆の上らへんをさしていました。そして、「そうだね。つまり風の向きが大事だということだね。風を帆にあてないとダメだからね」

 その後、『はやくふったほうが遠くに飛ぶ』っていうのを取り上げ、「この意見についてはどう思う?」とたずねました。「先生は、強くふってもあんまり飛ばないの見たし、風の強さって関係ないと思うんだけど…」と言いました。すると、「関係ある」と「関係ない」で分かれました。そこで、「じゃあ、本当に風の強さを強くすると遠くに飛ぶのか実験して確かめよう」と声掛けしました。

 そこで、とりあえず「遠くに飛ばすには、①風の向きを帆に当たるようにする ②風の強さを強くするといいかもしれない」とまとめました。

終わりに

 実は、この勉強では、風に注目できるように、他の条件はできるだけ排除するのが大事かなと思います。「帆の大きさ」「うちわの大きさ」「車のキット」などです。これを条件制御せず、下敷きとかでやると、「下敷きの硬さが関係しているかも」とか本時でやりたいこととズレてしまいます。

 注目させたいところに注目できるように環境を整備するのは教師の大事な仕事だと思います。

 続きが気になる方は、理科専科がズバリ授業案を公開! 〜3年「風とゴムのはたらき」3授業目〜をご覧ください。

 

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