<本当に〇〇があれば、種子は発芽するのだろうか?>
初めに
実は、今年の5年生は、「天気の変化」からではなく、「植物の成長と発芽」から始めました。理由は、「天気の変化」って条件制御の考え方があまり出てこないからなんです。せっかく、授業開きで、イメージを沸かせたのに、それが流れるのはもったいないなと思い、今年は単元を入れ替えました。これが吉と出るように努力します。
復習する
『前回どんな学習をしましたか』と尋ねました。すると、Aさんが「ペットボトルの穴の位置の高さを変え、水の飛ぶ距離が変わるのかを調べました」と答えました。「何がわかりましたか?」と聞くと、Bさんは「下の方に穴を開けると、遠くに水が飛ぶことがわかりました」と答え、Cさんは「実験するときは、調べたい条件だけ変えて、他の条件は同じにすることがわかりました」と答えました。そこで、『先生が一番伝えたかったのは、Cさんが言ってくれたことね。条件制御をしながら実験できるようになるのが5年生でつけたい力だからね」と言いました。
この復習の仕方は、今年こだわりたいことです。子どもたちだけで進めるためには、良い復習の仕方を教えないといけません。だから、『前回どんな学習をしましたか?』『何が分かったのか?』という2つについて毎回復習することで子どもたちに定着させようと思っています。全ては、理想の授業のために…(ぼん先生の理想の授業が気になる方は、「理科専科はどう考える?! 〜理想の授業とは?〜」を御覧ください)
問題を捉える
そのあと、『今日から植物についての勉強をします。みなさんは今まで色々な植物を育てましたよね。どんな植物を育てましたか?』と聞くと…
トマト、ホウセンカ、ナス、ヘチマ、オクラ、ピーマン、朝顔、ひまわり、大豆
などの意見が出ました。
そして、子どもたちに、インゲンマメの種子を見せ、子どもたちに配りました。そして、その時に…
- ねえねえ。どうして袋の中に入っているインゲン豆の種って芽が出てこないの?
と聞きました。子どもたちは、一瞬固まっていました笑。そして、ボソボソと話し合う子どもたち!
『これから、君たちとやるお勉強は、芽が出るために必要なものは何かということです。では、問題を書きましょう。』といって、黒板に、「種子が発芽するためには、何がひつようなのだろうか」と書きました。「種子」や「発芽」は初めて出てくる言葉なので意味も説明しました。
植物を育てた経験を思い出す
そして、「予想する前に、芽が出てくるまでにしたことを思い出そうよ」といってペアで話し合いをさせました。そして、全体で共有しました。まとめると…
①種を蒔く(花壇に、4月頃。2月では寒いから無理との意見も出ていました)
②水をやる
③日光を与える
④放置する
でした。
発芽には必要なものを予想する
そこで、『もしかしたら、この中に発芽に必要なものがあるかもしれないね。必要だと思うものをノートにかいてごらん』といって書かせました。
『では、教えて下さい』というと、子どもたちから…
水、日光、肥料、土
といった4つが出てきました。そこで、『一気に調べるのは無理だから、これだけは絶対に必要だと思うものを1つ選んでください』と伝えました。そして、ネームプレートをはらせました。ぼん先生は、『水』にしぼれると思ったのですが…ここで事件が起きたのです。
なんと、水と日光と土が同数で並んでしまったのです。これには、ぼん先生もびっくり。どうしようと思い、『日光ということは、極端な話、日向にこの種子を置いておくと、発芽するということです。土なら、土に入れておくだけで発芽するということです。水なら水につけておくだけで発芽するということです。』と伝えました。
そして、全員で話し合いをさせました。すると、「日光は必要だと思う。だって、家の中で育てたの見たことないもん。」というおもしろい意見が出ました。それに対し、『じゃあ、水も必要。だって、水をあげてないの見たことないもん」との声。これは、収集がつかないなと思い、『分かった。3つやってしまおう』と言いました。本来は、こんなことしませんが、3年間持ち上がったクラスだし、いけるだろうと思い、やることにしました。(これは、想定していた流れとは違います。でも、これのほうが面白そうだと思い、やってみることとしました)
そして、課題として、『本当に〇〇があれば、種子は発芽するのだろうか?』と書きました。『〇〇には何が入ると思う?』と聞くと、「自分の予想」との声。『Cさんだったら?』と聞くと、『水』と答えていたのでバッチリでした。
土の場合の実験方法を考える
『じゃあ、実験方法を考えるよ。まずは、土の場合をやるよ。』と伝えました。そして次のようなやりとりをしました。
T:土が必要かどうかなので、変える条件は?
C:土ありか、土なしか
T:他の条件はどうするの?
C:そろえる
T:(2つのシャーレに種子をのせ)片方には土を入れれば良いね。でも、今は土がないから後から取ってこよう。それと、水や日光は無しにしよう。もし芽が出てきても、水や日光のお陰で出たのか、土のお陰で出たのかわからないから。
日光の場合の実験方法を考える
『じゃあ、次、日光の場合をやるよ』と伝えました。そして、次のようなやり取りをしました。
T:日光が必要かどうかなので、変える条件は?
C:日光ありか、日光なしか
T:他の条件はどうする?
C:揃える
T:(2つのシャーレに種子をのせ)これどこに置けば良い?
C:ひなた
T:そうだね。太陽はどこから昇って、どこに沈むかと言うと…
C:東からのぼって、南を通って、西にしずむ
T:じゃあ、どの方角の日向に置けば良い?
C:南です
T:そうだね。南だとずっと太陽にあたるからね。
T:じゃあ、これはどこにおけばいい?
C:あのへん
T:方位は?笑
C:北
T:そうだね。
T:それと、水や土は無しにしよう。もし芽が出てきても、水や土のお陰で出たのか、日光のお陰で出たのかわからないから。
水の場合の実験方法を考える
『じゃあ、次、水の場合をやるよ』と伝えました。そして、次のようなやり取りをしました。
T:変える条件は?
C:水ありか、水なしか?
T:他の条件はどうするの?
C:そろえる
T:そうだよね。土や日光は無しにしよう。もし芽が出てきても、土や日光のお陰で出たのか、水のお陰で出たのかわからないから。
C:じゃあ、どうやって水をあげるんですか?
T:これを使います。これは脱脂綿です。全員集合。シャーレに、脱脂綿を入れ、種子をのせます。そして、水を入れます。
C:うわ。脱脂綿に水がしみこんでいる
T:じゃあ、水無しをつくろうか。
C:先生。これシャーレの大きさちがうからダメじゃないですか?
T:するどい。これだと、水のありなし、シャーレの大きい小さいという2つの条件が変わっているからダメですね。
C:じゃあ、取ってきましょう。(理科室でシャーレ探し)
T:よし。じゃあ、シャーレの大きさ揃ったし、種子いれるね
C:これもだめじゃないですか?脱脂綿の有り無しの条件がかわってしまう
T:するどい。そうですね。これも条件揃えないとダメですね。
C:こんな脱脂綿1つで変わらなくない?
T:確かにそうかもしれない。でも100%変わらないとは言い切れないよね。だから、揃えないといけないの。これが科学者の調べ方だよ
C:大変ですね笑
T:あと、場所も揃えないといけないね。どこらへんに置く?
C:ここが良いと思う
T:もちろん、全く一緒な位置には置けないけど、これは仕方ないですね。
そして、外に行き、土を取らせて、土ありと土無しも作りました。
条件制御のコツを教える
その後に、教師から
今日、伝えたかったのは条件制御の考え方です。自分の予想を立てた後、それが正しいかどうかを調べます。調べたい条件…つまり予想は、条件を変えます。そして、それ以外のものは条件を揃えます。こんな風に調べないと、どの条件が結果に影響を及ぼしたのかわからなくなるからです。じゃあ、しばらく置いて、発芽するかどうかを待ちましょう。
と言いました。今回は、振り返りをする時間もなかったので、そのまま挨拶をして、終わりました。
終わりに
今回、めちゃくちゃ楽しかったです。それは、自分の想定を超えてきたからです。もちろん、水だけにしぼっても良かったし、それでも、肥料や日光や土は必要ないということには落とせます。でも、実際にやってみるのと、考察から考えるのでは…実感は違うと思います。その点で、良かったのかなと思います。
実際に、条件制御しながら、実験の仕方を考えたけど、分かったことわからない子に分かれたかなと思います。これは、しかたがないので訓練あるのみです。でも、やるうちに分かるようになると思うので、少しずつ鍛えて行きたいなとおもいます。
ぼん先生の理想の授業が気になる方は、「理科専科はどう考える?! 〜理想の授業とは?〜」を御覧ください。
続きが気になる方は、「理科専科がズバリ授業案を公開! 〜5年「植物の発芽と成長」2授業目〜」を御覧ください。
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